第45回読書会blue開催レポート

令和6年12月22日(日曜日)9:30~ 高志の国文学館 研修室103にて[読書会blue]第45回「沈黙」開催しました。

課題本は遠藤周作の「沈黙」

 

遠藤周作の代表作として海外でも翻訳されている1冊です。

以前映画も公開されているので、タイトルは見聞きしたことある方も多いのではないでしょうか。

 

 

読書会blueでは毎回課題本に関する小話を紹介しています。

 

今回は

・遠藤周作について

・「沈黙」創作の由来と江戸時代のキリスト教について

 

を紹介しました。

遠藤周作は多くの小説、エッセイなど執筆活動を続けるなかで結核による体調不良にも度々見舞われており、1961年には肺の手術を短期間で3度行っています。今回の課題本は自身の病床体験と江戸時代初期のキリスト教への迫害の史実から創作したものです。

 

「沈黙」の他にもキリスト教を主題とした作品を多く執筆しており、文筆、講演活動、大阪万博のキリスト教館プロデューサーなどの活動によりローマ法王からシベストリー勲章を受章するなど国際的な評価も高い作家のひとりです。

 

舞台となった長崎を「神様が私のために残してくれた場所」と語るほど何度も訪れており、キリシタンの里として知られている長崎市:外海地区には1987年11月に「沈黙の碑」が建立。2000年5月には遠藤周作文学館が開館し、遺品や草稿・原稿を直接見ることができる資料館として多くの人々に親しまれています。

参加者からの感想を紹介します。(ネタバレ多数/一部抜粋しています)

ロドリゴやキチジローについて、キリスト教から見えてきた神のあり方や宗教について、遠藤周作の他作品との違いなど様々な意見が聞かれました。

 

・言語化しにくい小説

 

・「沈黙」のテーマが「イエスの生涯」とも共通している

 

・ロドリゴは作中で神に何度も問いているが神は奇跡を起こさない

 

・葛藤をずっと書いている作品、ロドリゴを通して著者も葛藤している

 

・踏絵を踏むことで赦される心の逆転

 

・神が沈黙する意味。神は救ってくれないが絶望があるからこそ救済される

 

・踏絵を踏んだところで信仰は変わらない

 

・キリスト教とは何か改めて考えさせられた

 

・神は「人知を超えた大いなるもの」

 

・キチジローが裏切ったこともロドリゴのことも神が定めたこと

 

・辛いときもそばにいてくれるものがキリストであり神(信仰)

 

・キリストの顔がロドリゴの顔とシンクロしている

 

・ロドリゴは好きではない

 

・神の存在を何度も問うが神は解決してくれない

 

・宗教が人を生かすことならば信者を救うためには踏絵は仕方ないこと

 

・キリスト教の考え方として「キリスト=正、正は普通、世界中に広まるべき」という思想。踏絵を踏まないと信者がどんどん死ぬが、殺されても仕方ないと考えている

 

・神は自分(ロドリゴ)だけに沈黙破って語ってくれた

 

・殉教は正しいのか考えさせられた

 

・キチジローは現代の日本人に近い思想。信仰に重い軽いはない

 

・救うのは自分の考え方次第

・キチジローは過去の著作にも登場しており、同様のキャラクターで書かれている

 

・話の作り方のうまさ、表現のうまさに感動。キャラクターの表情が文章から伝わってくる

 

・神は黙ったまま、というのは現代に通ずる

 

・ラストは納得づけられる内容にしている、外国人らしいリアリティがある

 

・キチジローの踏絵は形式的なもの、ロドリゴの純粋さを感じる

 

・まるでミステリーのよう

 

・殉教した人々は殉教することに納得している

 

・キリスト教はユダヤ教が母体となっておりルール重んじているからか

 

・キリストがロドリゴを転ばせたことが奇跡

 

・ロドリゴが主役としたらキチジローが影の主役、どちらも遠藤周作の中にいる人物

 

・信仰に対する迷いが表現されている

ほかには

 

・宗教と信仰について(西洋と日本の考え方の違いなど)

 

・神の存在について(化学、占い、AIについて)

 

など、西洋と日本の宗教に関する考え方の違いや神の捉え方について、さらには占いは統計学という話題から化学について、さらにはAIの立ち位置から今後についてなど、参加者それぞれがいろいろな視点でじっくり語り合う時間となりました。

 

参加者の意見や考えを聞くことで自分では気づかなかった新たな気づきや視点を発見でき、より本の世界を楽しむことができますね。

参加者の皆さん、ありがとうございました!!

次回は2025年2月24日(月・祝)9:30~

課題本は有吉佐和子の「青い壺」

NHK100分de名著にも取り上げられるほどいま注目されている1冊です。

皆さんの参加をお待ちしています。

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