第51回読書会blue開催レポート

令和8年2月15日(日曜日)9:30~ 高志の国文学館 研修室103にて[読書会blue]第51回「変身」開催しました。

課題本はカフカの「変身」

100ページちょっととは思えないくらい、濃密な内容にはツッコミどころがたくさん。今回は多くの方に参加いただきました。

 

 

読書会blueでは毎回課題本に関する小話を紹介しています。

 

今回は

・フランツ・カフカについて

・「変身」について

を紹介しました。

 

カフカはチェコスロバキア:プラハ出身。ドイツ・ユダヤ系商人の息子として生まれたが、父は家業に忙殺され、母も父親の助手として働いていたため孤独な幼少期を過ごしました。文学を志したい気持ちがあったが、父の反対に遭い大学では法律学を専攻。卒業後は1908年以来プラハの労働者災害保険局に勤務しながら父の経営する工場の管理を任されていたため、合間に文学を執筆する生活を送ることとなります。

 

私生活では2度フェリーツェ・バウアーと婚約するが、自身が結婚に踏み切れなかったことと結核に罹患したため婚約を解消している。1922年仕事を辞め、作家として自立するためベルリンに移り住むが、結核の悪化により帰郷。療養生活を送りながら執筆を続けるが喉頭(こうとう)結核のため死去。享年41歳でした。

 

 生前のカフカは短編作家として知られており、長編や未完の作品類はカフカの死後、親友で遺稿管理者のマックス・ブロードがカフカの意思に反して公刊されています。

 

今回の課題本である「変身」は、1912年フェリーツェ・バウアーと出会い、手紙のやり取りを経て親密さが増した11月上旬から12月に執筆。当時長編小説を執筆中だったが、なかなか進まない状況にあり「ベッドであれこれ考えていたときに思いついた」ことがきっかけとなった。以前から未完の小説「田舎の婚礼準備」内で虫への変身願望を抱いている主人公の小説を書いていたことから、構想の原型を持ち続けていたことがわかります。タイトルは当初「小さな物語」とつけられていましたが、後に「変身」に変更されています。 初稿をわずか3週間で書きあげたにもかかわらず、3年の月日を要しました。

 

冒頭の「ある朝、グレーゴル・ザムザが不安な夢から目を覚ますと」に続く一節は、日本語訳ではほとんどが「とてつもなく大きな毒虫」や「ばかでかい虫」「薄気味悪い虫」などと訳されていますが、必ずしも「虫」に変身したとは言及できません。ドイツ語の原文:Ungezieferは鳥や小動物なども含む有害生物全般を意味しており、カフカの研究者たちもグレーゴルが「虫」に変身したことは間違いないだろうと考えていますが、どんな虫なのかは現在も不明です。刊行する際も、表紙に虫の絵を使いたいという出版社に対して、カフカは「虫そのものは描かないこと。遠くに見えているのもだめ」と回答。カフカの指示通り、初版は苦悩する男の絵の表紙が採用されたものの、その後の版では、具体的な虫ではないがどことなく気味の悪い生物が描かれるようになっています。

参加者の皆さんの感想を紹介します。

 

登場人物についてはもちろん、話の中心となる「虫」についてなど多彩な感想が聞かれました。

・自分が虫になるのも家族が虫になるのも嫌

 

・喜劇のよう、夢のようで夢ではない

 

・現代でもこのようなことはありうること

 

・グレーゴルは悲観に暮れていないのでは

 

・知的に表現するために「虫」になったのでは

 

・グレーゴルが虫になったことを誰も不思議がってない

 

・間借り人→社会の付き合いを指しているのでは

 

・著者であるカフカにも不満があったのかも

 

・五感に訴えかける小説、風刺ぽい

 

・自分が悪者になりたくない、けどいなくなってほしい

・良い人、気の弱い人が幸せになれない、食いものにされている

 

・家族がグレーゴルの変身をやりすごしている、甘んじている

 

・変身してもグレーゴルの思考が人間のままと家族が知れたら変わったかも

 

・グレーゴルは家族のことを常に考えている、家族のことをわきまえている

 

・ラストの涙の痕跡にグレーゴルの生きた痕跡が見られた

 

・役割を作ることで人は活性化する

 

・家族の介護と重ねて考えた。終わったときは解放された気持ち。当時は終わりが見えない、考えられなかったと思う

 

・家族も周囲に助けを呼ばない、求めようとしない社会

 

・家族3人の解放感は印象的

 

・同居家族の切実さは否定できるものではない

 

・家族はグレーゴルが死んだことで前向きになっている

 

・もしグレーゴルが人間の姿で病気になったとしても仕事は辞められなかったのでは

 

・「変身」→家族の「変身」

・変身によって突然変わる展開にハンセン病を想起した

 

・現実社会に重なるところがある、世の中がカフカに近づいてきたのでは

 

・カフカは父に自身の気持ちを分かってほしいという気持ちを込めたのでは

 

・涙の痕跡は家族がグレーゴルのことを思った証

 

・グレーゴル主観では「虫」に変身したと思っていたが、本当は変身していないのでは?

 

・ある日突然、自身の姿・形が変わったとしても家族は愛せるのか

他には、

・「変身」をどのように読み解くか

→家族小説と読むか、社会小説と読むか

→現代の家族の介護問題などと重なるのでは

 

・グレーゴルについて

→虫になったことで周囲からどう見られるか

→虫なのに虫になりきれていないのでは

 

など「変身」を通して現代の社会問題を想起したり、家族の在り方やカフカがこの世に作品を遺した意味など様々な話題が飛び出す充実した時間となりました。

参加者の皆さん、ありがとうございました!!

次回は2026年4月19日(日)9:30~

課題本は遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」

皆さんの参加をお待ちしています。

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