第13回読書会blue開催レポート

平成30年10月7日(日曜日)9:30〜

高志の国文学館にて[読書会blue]第13回「ジキルとハイド」開催しました。

今回の課題本は「ジーキル博士とハイド氏」のタイトルのほうがしっくりくる方が多いかもしれません。

今回は他の出版社から刊行された「ジキルとハイド」を読み比べた方もいらっしゃいました。訳者による表現の違いを比較するのも西洋文学ならではの面白さですね。

 

読書会blueでは、毎回主催者より課題本に関する小話を紹介しています。

 

今回は

・著者スティーヴンソンについて

・ジキルとハイドを書くまでの要素

について話しさせていただきました。

長くなる予感しかしないので小話については次回ご紹介させてください。

 

さらっと内容に触れると、

著者:スティーヴンソンがどのような生涯を送った人物であったか、

課題本となった「ジキルとハイド」を書くまでの要素として

モデルとなった人物がいたこと、

悪夢からアイディアが生まれたこと、

当時の身分の格差にも触れています。

 

これらの小話を一通り終えてから読書会に入ります。

今回話題となったのは

「理性と欲望」

「職業が人格を作る」

 

悪の要素が多いハイドに目を向けてしまいがちですが、実はジキルの中に元々ハイド(悪)の要素を持っていたのです。

これを理性で抑えていただけであり、ハイドになることで抑えた欲望を解放しています。

薬は欲望を解放するトリガー(引き金)の役割を果たしています。

二重人格という話題にも触れました。

本来の二重人格(解離性障害)ですと

どちらかの性格になっているときはもう一人の自分は眠っている状態となります。

つまり、入れ替わっている間の記憶がなくなってしまうのです。

本編では

ジキルの姿でハイドを感じる場面

ハイドの姿でジキルを感じる場面

どちらもあることから、二重人格ではなく

ジキルがハイドという「悪」を演じることでハイドになってしまったのではないか

という結論に至りました。

ジキルとハイドは「善」と「悪」でしたが

仕事での顔と家庭での顔があるように私たちは日常のなかで顔を使い分けています。

最近だとパラレルワークという働き方も聞かれるようになってきました。

仕事ももちろんですが

趣味や生きがいなど

自分を出すことのできる場所を作ることで

私たちの人生をより豊かにしたいですね。

ジキルがハイドを演じることで「悪」に染まってしまったことから「職業が人格を作る」ことも話題となりました。

 

例えば、母親という役割を与えられたとします。

 

その立場になった人間は母親という役割を演じようとします。

役割を通して母親としての役目を果たそうとするのですね。

役目を果たそうとして時には手を出してしまったりという問題もあるのですが、

元々はその人がそうなりたいと願って、行動を起こしたことがきっかけとなっています。

 

仕事の場面でも仕事のやり方を覚えていくなかで自然と周囲に染まることはありますよね。

参加者の皆さんも自身の仕事の場面に当てはめながら納得された印象でした。

他にも

カルー卿はなぜ殺されたのか、

ジキルが注目されるきっかけとなった筆跡のシーンなど

作品を通して多くのことを語り合いました。

参加者の皆さん、ありがとうございました!

 

次回は12月23日(日曜日)9:30〜

課題本は武者小路実篤の「友情」

青春時代の友情と恋愛が織りなす1冊となっています。

案内はこちら(募集は終了しています)

皆さまの参加をお待ちしています。

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