第10回読書会blue開催レポート
平成30年4月22日(日曜日)9:30〜
高志の国文学館にて
読書会blue第10回「和解」
開催しました。
今回の課題本のポイントは
父と息子の親子関係
読書会blueらしい真面目な部分もありつつも終始和やかな雰囲気で進みました。
課題本である「和解」は
志賀直哉が3年間の休筆期間を経て発表した作品です。
主人公の名前は架空ですが、ストーリー、登場人物ともに実体験が基になっています。
父と息子の不和から始まり
死と生、そして和解
読後感は爽やかな風が流れる1冊となっています。
読書会blueでは感想を語り合う前に主催者から課題本に関する小話をしています
今回は
・和解以外にも多くの作品が生まれた安孫子での生活
・父親との不和のきっかけから和解に至るまでの経緯
をご紹介しました。
・和解以外にも多くの作品が生まれた安孫子での生活
志賀直哉は生涯で数十回引っ越しするほどの引っ越し魔だったのですが、そのなかで多くの著名な作品を生んだのが千葉:安孫子でした。
「児を盗む話」から休筆期間があった志賀直哉
武者小路実篤、柳宗悦、中勘助や陶芸家のバーナード・リーチといった文学や芸術に関わる仲間たちと親しく付き合うことで次第に表現に向かう意欲を掻き立てられ、「和解」をはじめ「暗夜行路」「城の崎にて」など著名な作品の発表につながっています。
安孫子には当時利用していた書斎が現在でも残されています
・父親との不和のきっかけから和解に至るまでの経緯
そちらは年齢にそった簡単な年表を基に説明させていただきました。
2歳で父の仕事の関係で上京
実母の死と父親の再婚
父親との不和のきっかけとなった事件から
結婚、和解まで
一連の流れをお話しました。
父と和解してから2か月で作品を発表したところからも志賀直哉にとって大きな出来事であったことがわかります
そんな志賀直哉と和解に関するエピソードを共有したところで読書会に入ります。
主人公をはじめ登場人物の行動や時に見える感情的な部分から想像を膨らませます
父親と息子の不和は「ボタンのかけ違い」
同性ということもあるのでしょうが
互いの誤解・間違った思い込みと
意地の張り合いが歩み寄りを
邪魔しています。
そんな意地の張り合いから和解へと導いてくれたのが長女の死と次女の誕生でした。
生命の死と誕生を目の当たりにした主人公
人間的に成熟し、父親の気持ちを理解出来たからこそ向き合う勇気を持つことができ、
父親も時間の経過とともに自身の老いを感じ、これ以上の意地の張り合いが無意味だと感じたからこそ和解することができたのです
それぞれの視点から
たまに見える感情的な部分を探りつつ
参加者同士深め合う時間でした。
志賀直哉は父親との和解に長い時間を要しています
自身の出来事を客観化することで心の整理となり、名作を生むきっかけとなったのですね
参加者の皆さん、ありがとうございました!
次回は6月24日(日)9:30~
課題本はゲーテの究極の片想い小説「若きウェルテルの悩み」
案内はこちら
残席わずかとなっております。
皆様の参加をお待ちしています。