第7回読書会blue開催レポート
平成29年10月21日(土曜日)9:30~
高志の国文学館にて
読書会blue第7回「夜と霧」開催しました。
こちらはヴィクトール・E・フランクルが自ら体験した強制収容所体験を基に書かれた1冊となっています。
「夜と霧」というタイトルは
日本でつけられたものでして、
原題は
「ある心理学者の強制収容所体験」
(訳者により異なる)
そもそも「夜と霧」とは
ヒトラーにより発せられた総統命令です
主に政治犯を対象にしており
ドイツへ密かに連行するのですが
その手口がまるで夜霧の如く消え去るようであったことからその名がついています。
今回の課題本には新版を指定させていただきましたが、実は旧版が存在しています
↑写真上部左側が旧版、右が新版
旧版は本編が始まる前に70pほどの強制収容所に関する解説と本編終了後に資料として強制収容所に関する写真が掲載されています
新版はそのような解説と資料はなく、本編のみ。
さらに詳しく言うと
旧版は1945年出版のものを
新版は1977年改定版のものを
訳したものとなっています
どちらも読みましたが違和感なく新版のほうがより現代に近いので読みやすいかな、というくらい。
かといって旧版もそこまで読みにくさは感じなかったので、これから読まれる方は資料の有無で選んでも良いと思います。
では読書会に話を戻しましょう
読書会blueでは毎回課題本に関する
小話をしています
今回はフランクルも移送された
・アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所について
・フランクルが辿った強制収容所
を話させていただきました。
(書きはじめたら毎度の長文になってしまったのので詳細は近日アップ予定)
ノンフィクションなのもあって
フランクルの凄さ
生きる意味
を語り合う読書会となりました。
過酷な状況のなか
周囲の人たちを分析する冷静さ
自身が被害者であるのに不幸ぶっていません
強制収容所の過酷さも具体的なので
どのようなことが辛かったのか
どのような苦しみがあったのか
が伝わってきます
そんな状況下にあっても
夕日の綺麗さに感動し
ユーモアを交えて会話する
一人の命を失うくらいなら食事抜きを選ぶ
食べものを奪い合う人がいるなかで
自分のわずかな食料を分け与える人がいる
人の力強さを感じる一方で
良くも悪くも人のありのままの姿が
伝わってきます
この作品が現在まで読み継がれているのは
ただの手記とは違う、
人の生きる意味が問われる内容だからです
現代とは勿論環境は違いますが
生きる意味を探し続けることに
かわりはありませんよね
愛する人を自覚したら、生きることから逃れることはできないんです
生きる意味が自覚できた人間は誰よりも強い
それは強制収容所という過酷な環境にも耐えうることが出来るくらいに
自分の寿命を決めるのは自分です
逆に諦めたときが命の終わりともいえます
最後に個人的に心に留まった言葉を紹介
「わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ(夜と霧新版p145)」
実は「夜と霧」は東日本大震災後にも
注目されたそうです
それだけ災害によって
生きる意味を見失ってしまった人が
多かったのでしょう
今回はフランクルの関連本をはじめ、
強制収容所の写真や教科書など
多彩な本を持参いただきました。
左側に教科書があるのはお気付きでしょうか
教科書?と思ったあなた…侮れませんよ!
教科書は登場人物を
簡潔に・分かりやすく書いてあるので
「この人どんな人?」と思ったら一見の価値あり、です(同じ理由で児童書もおすすめ)
参加者の皆さんありがとうございました!!
次回は12月9日(土曜日)9:30~
課題本はヘルマン・ヘッセの「車輪の下」です。案内はこちら
ヘルマン・ヘッセというと誰?と思う方も
国語の教科書に載っていた
「少年の日の思い出」というとピンとくるかたもいらっしゃるのではないでしょうか
わたしは蝶をクシャクシャにした話って
ことしか覚えてません。笑
次回までにどんな話だったか見直しまーす