第50回読書会blue開催レポート

令和7年11月23日(日曜日)9:30~ 高志の国文学館 研修室103にて[読書会blue]第50回「女の一生」開催しました。
課題本はモーパッサンの「女の一生」
読書会blueでモーパッサンを取り上げるのは「脂肪のかたまり」以来2回目。100年以上前に書かれたとは思えない1冊です。
読書会blueでは毎回課題本に関する小話を紹介しています。
今回は
・モーパッサンについて
・「女の一生」から垣間見る当時の貴族と家父長制
を紹介しました。
モーパッサンはフランス出身。10歳のときに両親が離婚、母と弟とともに海辺の町:エトルタに移住し少年時代を過ごします。20歳のときに普仏戦争に従軍。戦後はパリに渡り、海軍省・文部省等で働きながら作家の道を志します。「ボヴァリー夫人」等でも著名なフローベルから指導を受けていたこと、ゾラなど自然主義作家との交友を深めていたことも後のデビューにつながっています。
1880年普仏戦争を扱った同人作品集「メダンの夕べ」から「脂肪の塊」を発表し、文豪の地位を確立。その後は短編をはじめ多くの作品を発表するも20代に罹患した梅毒の進展に伴う頭痛や眼疾に苦しみ、さらに社交界での疲労や薬物の乱用などが重なり1892年はじめピストルによる自殺未遂を起こします。その後は精神病院に入院、一年以上をそこで過ごし翌年7月6日生涯を終えました。
故郷であるノルマンディ地方の風景を取り上げ、農民・商人・小役人など雑多な階層の人々を取り上げた作品を多く残している。特に大衆に好んで読まれ続け、フランス文学のなかで最も翻訳の多い作家の1人です。日本では明治・大正期の作家にも影響を与えています。

ほか「女の一生」について、当時の貴族と家父長制についても紹介しました。
「女の一生」は1883年2月27日~4月6日まで新聞「ジル・ブラース」紙に連載。連載終了後と同時に単行本として出版。1884年初頭までに25版を重ねるほどの反響を呼びました。作品の評判は海外にも伝わり、積極的に翻訳が行われました。日本語版は1913年に英訳より重訳されています。
貴族については階級の話から舞台となった当時のフランスの貴族と階級についてお話しました。
家父長制は当時のフランスの立場が低かったことが非常に関係しています。
当時女性は男性に劣るものとされており、出産、育児、家庭の維持といった側面への専従が常態化。女性は離婚することが許されず、男性の不貞は罰せられることもありませんでした。女性の権利も立場も現在より低かったのです。

参加者の皆さんの感想を紹介します。
1人ひとりの発言も多く、ゆったりとした雰囲気のなかで様々な意見が飛び出す時間でした。
・結婚に憧れ、結婚したらすべて終わってしまった
・ジャンヌは徹頭徹尾、自分にことしか考えていない
・ジャンヌにとって子どもはペットのようなものだったのでは
・義理の兄弟でも環境の違いで変わってしまった
・ラストは幸せを感じさせる描写
・モーパッサンは男性なのに女性の描写が緻密
・大体は結婚で完結してしまうものが多いが終わってからのことが書かれていて面白い
・自然描写が主人公の心情と重なっている
・人生下り坂のなかにも上り下りがある、人生良い悪いの話
・当時は革命の真っただ中で貴族も大変だった
・歴史的資料の価値があるのでは

・ジャンヌは美化して思い出してるが実際は冷めて見ていたのでは
・ジャンヌに関わる人すべて不幸になっている
・男爵の反カトリックの姿勢は当時としては珍しかったのでは
・救いはロザリ、マイナスを補ってくれた
・ジャンヌとジュリアンの美しい描写には心動かされなかった。ジャンヌは自分のことしか考えられない女性
・ジュリアンの立ち振る舞いは当時の貴族としてはどうしようもないのでは
・(ジャンヌに対して)共感はないけど分かるところはある
・ジャンヌは生涯自分自身の生きがいを持たない人、過去の追憶に浸るだけで思い出に生きる人
・ラストで孫を抱き命を繋いだところが名作として残った所以か
・ロザリには罪滅ぼしの気持ちがあった?負い目があったのでは

ほかには
・ジャンヌについて
→課題本から見えてくるジャンヌの人物像、ジャンヌはジュリアンに愛情があったのかなど
・ロザリはなぜ戻ってきたのか
→罪滅ぼしのためなのか、それともジャンヌの財産を乗っ取ろうとした?など
当時の時代背景から考えるジュリアンの状況についてなど感想を更に深めてより深く課題本の世界を楽しむ時間となりました。一人ひとりの発言も多く、様々な意見を聞くことができたと感じます。

参加者の皆さん、ありがとうございました!!
次回は来年2026年2月15日(日)9:30~
課題本はカフカの「変身」
皆さんの参加をお待ちしています。