第19回読書会blue開催レポート

2019年10月14日(月曜日)9:30〜
高志の国文学館にて[読書会blue]第19回「青べか物語」開催しました。

課題本は山本周五郎の「青べか物語」

山本周五郎の若かりし頃、浦安に滞在していたときに書き溜めていたノート、当時住民から見聞きした噂話などを基に書き上げた1冊となっています。

作中に登場するユークリッド幾何学についても参加者から身近な例えで説明していただき更に理解が深まりました。

↓以下読書会で話し合った内容を紹介。

浦粕は日本の漁師町のはずなのに日本らしくない、まるで外国に迷いこんだかのような世界です。
(落語、戯曲のみたいな世界という意見もありました)

 

現代では犯罪に触れるであろう駆け引きも多数!
浦粕の人びとは騙し、時には騙されるのになぜか幸せだったりする。
それはたくましく、憎めないキャラクターの中にも一瞬の美しさ、子どもたちの素直さが感じられるから。

これを味わうために各エピソードがあるのではないか。

当時は今以上に生と死が近かったために「生きる」こと、「生き抜く」ことの大切さを著者は伝えたかったのではないか。
(例:「毒を飲むとくるしい」など)

 

留さんには唯一感情を出すシーンがあったのはふさわしい処遇にならないから。いい人なのに恵まれないから共感しているのではないか。

主人公が30年後にまた浦安に来たいと思えたのは浦安の人になりきっていないから。
だからこそ自分の影を残さないようにしているのではないか。

著者:山本周五郎の当時の困窮ぶりや浦安滞在前の奉公先で働いた経験が人を見る目を養った、というエピソードも紹介されました。

 

生きていると時には失敗、挫折など心が折れそうになることがあるでしょう。

 

著者は青べか物語の各エピソードを通して、人というものはこんな状況(失敗、困難、色恋など)でどんなときにどんなことをしたか、読者に感じて・考えてもらうことで生きる糧にしてほしかったのかもしれません。

他にも作中で登場したストリンドベリ「青巻」についての話題も登場し、充実した時間となりました。

 

小話は

・浦安時代の山本周五郎について
・昭和初期の浦安の風景

について話させていただきました。

詳細は後日ブログにてご紹介します。

参加者の皆さん、ありがとうございました!

 

次回は2020年1月4日(土曜日)9:30〜
課題本は新田次郎の「剣岳・点の記」
富山・剱岳を舞台とした山岳小説です。過去に映画化もされましたね。

近日中にイベントページを立ち上げます。
皆さまの参加をお待ちしています。

 

最後に、読書会blueは3周年を迎えました。
最初は参加者:4人で始まった読書会。
現在は参加者も増え、部屋の規模を広げるまでに成長することができました。
多くの人の支えがあるからこそ今日まで続けることができています。
主催者として今後も更に充実した読書会を届けるべく、精進してまいります。

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