第14回読書会blue開催レポート

平成30年12月23日(日曜日)9:30〜

高志の国文学館にて[読書会blue]第14回「友情」開催しました。

武者小路実篤が志賀直哉の友情からヒントを得て創作した作品です。
作中に登場した書籍を読んで参加された方、過去に著者自身で手がけた装丁の本を持参された方も何人かいらっしゃいました。
現在の装丁と見比べるのも本ならではの楽しみですよね。
(因みに最初の装丁は岸田劉生が手掛けています)
以下読書会で話し合った内容をご紹介します。
今回話題となったのは
「野島が得た教訓とは何か」
野島が杉子へ向けたのは盲目的な愛です。
それ故に野島は杉子自身を見ているようで見えていません。
文面からは、野島がこれまで人を好きになったことがない、未熟さが感じられます。
(読者側としてはいい加減気づきなよと思わず呟きたくなるところですが)
恋をしたことがない、知らないんだろうなという印象です。
かたや杉子は野島の親友:大宮に惹かれていきます。
杉子もある意味ずる賢い。
杉子も嫌なら早い段階で本人に言ってあげなよという感想多数
同様に野島も脈がないなら早々に諦めなよという感想もありました。
かたや大宮は親友の好きな人が向ける愛に最初は戸惑いますが、最後は相思相愛の関係となります。
しかしながら、大宮も苦悩の末の決断です。手紙の中で思い悩む姿に共感する意見もありました。
大宮の成熟さを感じるエピソードが杉子の手先を褒めるシーンです。
手先を褒めるシーンからは大宮が理想の女性像ではなく、杉子自身をよく見ていることが伺えます。
野島との大きな違いですね。
このシーンは
女性陣は手先を褒めてもらえたら嬉しいと納得、
男性陣はふむふむそうなんだと新たな発見という印象、
男女の違いを感じた場面でした。
大宮は同人誌で野島にありのままの真実を伝えます。
海外にいるとはいえなぜ同人誌上なのでしょう。
大宮は小説家として自分のフィールドで伝えたかったのではないか。
大宮が野島に送ったメッセージ的な意図があったのではないか。
最後まで互いに恨むことなく、尊敬し合えるのは大宮と野島の友情が前提としてあるから、という結論に達しました。
大宮は恋愛を選びましたが、現実は友情を選ぶ人が多いかもしれません。
他にも作中で登場したトルストイの話など様々な話題が出ました。
(武者小路実篤がトルストイを取り上げているのは叔父の勘解由小路資承の影響があるようです)
小話としては

・武者小路実篤と志賀直哉との友情

・「友情」に込められた思い

について話しさせていただきました。
小話についての記事もぜひご覧ください。
参加者の皆さん、ありがとうございました!
次回は2019年2月10日(日曜日)9:30〜
課題本は谷崎潤一郎の「猫と正造と二人のおんな」
猫のリリーを溺愛する男と
その男を愛する女の思いが交錯する1冊です。
案内はこちら
皆さまの参加をお待ちしています。

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