「日の名残り」@とやま月イチ読学部

ちょっとお久しぶりの投稿になります
12月、1月と積ん読を解消してたのもつかの間、風邪をひいたりしてました
皆さま身体にはお気をつけくださいませ

 

2018年1月25日の「とやま月イチ読学部」でファシリテーターをさせていただきました

課題本はノーベル賞作家でもある

カズオ・イシグロの「日の名残り」

1989年にブッカー賞受賞
1993年に映画化されています

 

語り手でもある主人公:スティーブンスは
イギリスの執事
現在(1956年)と過去の1920年代〜1930年代にかけての回想シーンをしながら話が進んでいきます

 

今回は読書会blue風に

・舞台となった場所(オックスフォードシャーとコーンウォール)について

皆で感想を一通り話したあとに

・イギリスの執事・メイドさんについて

話をさせていただきました

 

私自身最初に読んだ印象ではスティーブンスが地味というか言いたいことを言わない寡黙な人の印象だったのですが、他の方も読んだ印象としてスティーブンスの真面目さ、堅苦しさを感じていた方が多かったと思います

貴族と執事というとお堅い印象ですよね

 

そんな1冊ではありますが当時の状況や時代背景を知るとぐっと面白くなります

特にイギリスの執事・メイドさんについて知ると登場人物の印象がガラッと変わります

 

簡単にイギリスの執事・メイドさんについてご紹介します

 

【執事】

執事は農村出身者が多く、ある程度のランクからは高身長・イケメンで仕事ができないといういわばエリートの中のエリート
いつ何時もご主人様の要望に対応せねばならないので独身でないと勤められない職業でした(執事になれば結婚は一応可能だがその場合使用人1人ぶんの給与しかもらえない、夫婦は1組という考え方)
なお使用人同士の恋愛は禁止です

 

【メイド(女中)】

では女中、いわゆるメイドはどうかというとこちらも執事同様農村出身者が多く、奉公という形で勤めます。ある程度の年齢になれば結婚して寿退社が一般的でした。

なおこの当時の女性は

「結婚して、子どもを持って(男児)一人前」

女性の独身者に対する世間の目は今以上に厳しいものでした
なお妊娠した場合は働けません

女性にとっての結婚がいま以上にステータスだったのですね

 

その話を踏まえて登場人物を考えてみましょう

 

真面目なスティーブンスは信頼するご主人様とキャリアを捨てられないし、
ヒロインであるミス・ケントンの結婚に対する思いも分からなくない

そもそも使用人同士の恋愛はNGで2人は執事と女中頭です

互いに惹かれていても考えますよね

 

イギリスの執事・女中についてはこちらのサイトを参考にさせていただきました

ちなみに現在でも執事は活躍しています

 

後半には
ミス・ケントンがスティーブンスに惹かれた理由やスティーブンスが仕事に熱心で恋愛に鈍感なのは性格もあるけど執事という仕事柄もあるのではないか、などスティーブンス自身の人間観や父親との関係についてや第二次世界大戦前にはこのようなやり取りがあったのか、などなど歴史の話にもなりました

語り合うことで日の名残りの世界を更に深く楽しめたと思います

なお映画版はこんな感じ

 

悪天候ではありましたが、お付き合いいただいた皆様ありがとうございましたm(_ _)m

 

とやま月イチ読学部では富山市内に在住、在勤の方を対象に毎月読書会を行っています。
次回の案内はとやま月イチ読学部HPをご覧ください

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