読書会blue第6回潮騒開催レポート

平成29年8月26日(土曜日)9:30~
読書会blue第6回潮騒開催しました。

今回の課題本は三島由紀夫の「潮騒」

他の三島作品とは異色の

爽やかな風が流れる作品となっています
(実は爽やかではない?疑惑が浮上するのですがそれは後程)

 

今回は全員リピーターさんの参加です

読書会という場に慣れている方々との

話し合いということで

テンポよく話が進みました

 

読書会blueでは毎回課題本に関する

小話をしています

今回は

・舞台となった神島について

・三島由紀夫が潮騒を書くに至るまで

を話させていただきました。

 

 

・舞台となった神島について

舞台となったのは

三重県の神島という離島になります

地図では見えないくらい小さい島です
(気になるあなたはgoogleマップで見てね!)

神島と愛知県をつなぐ海は

伊良湖水道と呼ばれており

古くから交通の要所として

多くの舟が行き交っていました

波が高く、両側に岩礁があるため

航行の難所でもあります
(参考:大辞林第三版 日本の地名がわかる事典)

 

 

・三島由紀夫が潮騒を書くに至るまで

昭和27年、世界旅行で訪れたギリシャに魅了された三島由紀夫
帰国後ギリシャの恋愛物語「ダフニスとクロエ」の展開を生かした日本を舞台とした物語を書こうと思い、モデルとなる地域を水産庁に依頼したところ神島を紹介されたことがきっかけでした
(実際に神島を訪れて島の人々の生活や漁の様子などを取材した「潮騒 執筆のころ」も三島由紀夫全集に掲載されています)

なお神島が舞台になった決め手は

「(都会的なものが)何もないから」

都会の影響を受けていない地域をあえて選んだことがわかります

 

なおタイトルの潮騒は

万葉集「潮騒に伊良虞(いらご)の島辺(しま)へ漕ぐ舟に妹(いも)乗むらぬか荒き島廻(しまみ)を」
柿本人麿が詠んだ歌から取っています

三島由紀夫の言葉の魔法は

単語を使わずとも、言葉のニュアンスで

風景や登場人物の様子を思い起こさせます

話し合いでは

話全体に愛があふれている

という話になりました

ここで言う愛とは

母性愛、プラトニックな愛ですね

戦後復興の最中の日本です

厳しい時代だからこそ

あえて愛情がベースの作品を書いたのではないか

みんなを励ましたかったのではないか

潮騒を書く裏には

そんな時代背景が絡んでいたのかもしれません。

印象に残った登場人物で

まっさきに名前があがったのが

照吉(初江のお父さん)です

照吉の海の男像がかっこよい!

寡黙だけれども周囲を思い

人を見下したりしない

全員一致のまさに理想の海の男像!

後半の安夫と新治を試すシーンでも

まさに

「海で見せる行動は嘘をつかない」

ということを身をもって証明しています

初々しい2人の恋愛は成就し、晴れて婚約して

めでたしめでたし…と言いたいところですが

ただの純愛物語ではない疑惑が浮上します

最後の最後で2人の思いが

ちょっとすれ違っているのです

最後の最後で新治には

新たな目標が出てきているし

初江は偶然にしては出来が良すぎて

計算していたとしか思えない

そう思うと

あの新治ママにあげたハンドバッグも

実は最初からああするつもりだったのか!!?

…初江さん実は策士だったのかもしれません

このようにそれぞれの感想や思いを

話し合うことで

1人読みでは気づかなかったことに

気づくことができるのが

読書会の良いところですね

 

最後には本の楽しみ方として

・映像(映画・ドラマ)から見て本(原作)を読むか
・本(原作)を読んでから映像(映画・ドラマ)を見るか

という話題になりました

 

あなたはどちらですか?
ちなみに私は本から映像派です

参加者の皆様、ありがとうございました!!
次回は10月21日(土曜日)9:30~
課題本はヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」です。
こちらも非常に深い1冊となっています

 

10月21日9:30~開催です
みなさまの参加をお待ちしています
案内はこちら

 

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