読後感「いのちの初夜」
こんばんは!新井英里奈です。
チョコレートはクッキー入りの
ザクザクしたのが好きです。
今回は川端康成を調べていた際に
気に留まった
北条民雄の「いのちの初夜」を
ご紹介します。
北条民雄は川端康成が発掘した作家でも
あります。
北条民雄はハンセン病療養所に
入所していたので
他作品もハンセン病を扱ったものが
多いです。
では見ていきましょう。
「いのちの初夜」は
主人公、尾田が
ハンセン病(旧称:癩病)療養所に
入所するところから始まります。
当時のハンセン病は不治の病。
治す手立てはありませんでした。
療養所に入ると最後、
よほどの理由がない限り
外に出ることが許されない世界でした。
そこで尾田は初めて
重症の患者を見ることになります。
人であるのに人の形をしていない人達。
初めてみた同じ病気の人達の姿に
尾田はショックを受けます。
同じ病室の佐柄木は
尾田よりも更に症状が進んでいます。
顔と眼に障害を抱えており、
自身より重い症状の患者を介護する
付添夫を担っています。
佐柄木と尾田のやりとりを通して
話は最後まで続いていきます。
夜中に悪夢にうなされ、
目を覚ました尾田に
付添夫の夜勤を務めている佐柄木が
問いかけます。
「ね尾田さん。
どんなに痛んでも死なない、
どんなに外面が崩れても死なない。
癩の特徴ですね。」
今まで当たり前にあったものが
病気によって侵され、なくなる。
こう話せるまでに
どれだけの
苦悩があったのだろうと思うと
心にずしん、とくるものがあります。
佐柄木は彼らのことも自分のことも
あえて人間とは言いません。
「生命です。生命そのもの、いのちそのもの」
そう語る佐柄木も病に侵される恐怖と
日々闘っているのです。
生涯忘れることのできない一夜から
朝を迎えたとき、
尾田は生きてみる決意を固めます。
重い内容なのですが、最後は
雲の間から陽が差し込んでくるような
一筋の希望を感じさせてくれます。
出典:mw2.google.com
最後に佐柄木はこう言います。
「苦悩、
それは死ぬまで
つきまとって来るでしょう。
でも誰かが言ったではありませんか、
苦しむためには才能が要るって。
苦しみ得ないものもあるのです」
らい予防法が廃止されて
20年が経ちました。
先人達の苦しみ得たものを
文学を通して知ることも
今の私たちにできることだと思います。
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